kickstarterで出資していた、Raspberry Pi Compute Module 4を使ったタブレット型デバイスのCutie Piが、ついに届きました。
箱はええねん、中身や!はい、ハンドル付きのタブレットですね。筐体はプラスチックですが上質な仕上がりです。ハンドル部分は金属。
裏面もシンプルな白。右上にスピーカー、右下にカメラが配置されています。
製品情報のシール。FCC、CEはありますが、技適はなしです。まあ、CM4に技適マークがあればセーフのはずですが、私がちょっと前に確認した限りそもそも総務省DBに掲載がありませんでした。ところで製造がOrange Pi Electronicなのは大変興味深いですね。
まあ届いたついでに技適情報も調べ直しますか。ン゛ッ!?Raspberry Pi Compute Module 4の技適、通ってました!ついでにRaspberry Pi Zero 2 Wも技適が通ってました。
証書もPIPに上がっていました。
Pi Zero 2Wの証書もここに上がっています。
さてしかし、技適が通っていることと刻印の有無は別なハズなので、本体に刻印なき今、CM4や添付のドキュメントにそのへんがなければ、たしかNGです(ですよね?求む識者見解)。PIPの証書を持ってヨシとする超解釈があったような気がしなくもないのですが(これも求む識者見解)、少なくとも添付の紙には記載がなかったので、あとはCM4本体にあることを期待して(してないけど)、さっそく分解します。
PON!カメラのフレキが曲者なので、開ける時に油断してふたを持ち上げないように注意が必要でした。そのまま持ち上げたらたぶん、ケーブルの折れ曲がってるところからビリっとちぎれて、カメラが死にます。
メインボードとCM4
ア゙ッ
スーーーー……ないですね(知ってた)。設計者のPenk氏は日本在住らしく、kickstarterのレポートではフィールドテストとして東京メトロ8000系の車内(田園都市線or半蔵門線or東武線の沿線)で使ってる写真をあげていたり(例の180日申請してると信じたい)、冒頭のダンボールの背面にもDesigned by Cutie Pi in Tokyoとあるのに、どうしてここのケアがすっぽ抜けたんでしょうね……。まず本人が日本で使えんやろがい。
さて、こう書くと厳密に運用しないといけなくなる雰囲気じゃないですか。というわけで本ブログ記事では物理的に無線がないモデルのCM4と交換します。
こうして
こうじゃ
無線を失いましたが、技適フリーで、ついでにRAMが4倍になりました。ここまで書いてませんでしたが、Cutie Piに付属のCM4は2GB RAMです。手持ちは8GBです。で、まぁ、無線なんかドングルでも挿しときゃええやろ、キーボードのドングルも要るので、USBハブを組み合わせて、ドンッ!
正直、これでも今までのタッチパネルつきラズピッピソリューションの中では一番きれいにまとまっているので、ハブを付けていても全然アリですね。
ここでやっとiPad mini 6thとサイズ比較。まあ、どっちが普段持ち歩きたいですか?って聞かれたら即答でiPadですけども、Cutie Piはそういうもんじゃねえんだ、夢なんだ。いいな?絶対だぞ。
OS
Cutie Piには32GBのMicroSDカードが添付されており、本体下部(ハンドルがないほう)のスロットに刺さっています。添付の状態でも動きますが、どうもバージョンが古いっぽいので、ここから最新版を拾ってイメージを焼くと良さそうです。このリポジトリのファイルを読み解くに(pi-genのstageファイル)、残念ながら現状ではaptでCutie Pi関連のカスタマイズをアップデートする仕組みはないようなので、アップデートがあるごとにイメージを書き換えるスタイルのようです。
あと、2022-04-01版時点ではユーザー名がpi/raspberryになっており、SSHも有効の状態になっているため、起動したら早めにパスワードを変更する必要がありそうです。
Cutie Pi Shell
起動するとCutie Pi Shellという、独自の画面が起動します。
基本的な使い方としてはアドブロッカーつきのWebブラウザとのことですが、Wi-Fiの設定(USBドングルでも大丈夫だったのでありがたい)とか、タブレットの向きの検知とか、Cutie Piの使い勝手を支える基本ツールも込みになっています。が、アプリケーションとしてはブラウザとターミナルだけなので、ここから何でもできるつもりでNew tabを押したらブラウザのタブしか増えなくて焦りました。ターミナルはNew tabを長押しすると出てきます。
なんというか、カメラもアプリとして実装されているのかなと思っていたら、そんなことはなかったという感じです。よく考えれば、Raspberry Pi OSでlibcameraのケアが不足している問題が依然としてあるので、そっち側で察しです。
右上のボタンから通常のRaspberry Pi デスクトップに戻ることもできるので、ブラウザ以外でなにか使いたいときも安心です。また、Settings画面では、タイムゾーンとか電源系の設定、アドブロッカーの使用のオンオフとか壁紙(スタンバイから復帰するときに表示されるやつ)の設定ができるようになっています。なお、壁紙は/usr/share/rpd-wallpaperにあるもの以外選べない感じなので、好みの壁紙を使いたいときはここに配置すればOKです。
ソフトウェアキーボードもShellの範疇で、これはよく出来てるなと思いました。ふつうRaspberry Pi OSでもあったら重宝しそう。日本語ももちろん使えますし、変換もOKでした。
まとめ
Raspberry Pi搭載タブレットとしてはかなり洗練された仕上がりになっていると感じました。独自シェルに関しては、なんかもうちょっと機能とかカスタマイズ性を期待してしまう自分がいて、かめらもそうですけど、起動時に表示するページの設定とかがUI空できるようになると良いなとか思いました。今後の拡張に期待しつつ、aptで更新できるようになってほしいところです。いちいちイメージを焼くのはちょっとですね。
日本独特の課題としては、やはり技適でしょうか……色んな意味で。現時点でどう解釈すれば良いのか非常に悩ましいです。求む識者見解。
追記
識者というか、ちょうど総務省に問い合わせたという方から情報を共有頂いたので貼っておきます。記事を読みすすめると私がraspi.jpで書いた記事が引用されていますねw
こんにちは。ちょうど先日、このような機器について総務省に照会して回答を頂きました。
— pirosap (@pirosap) 2022年4月28日
記事中の結論と同じですが、ご参考まで。https://t.co/yt36IbpEie
で、結果としては私の思っていたものから特におかわりないようなので、Cutie PiをCM4の入れ替えなしに使うには、本体を回収してもらい追加でシールを貼り付けてもらわないといけないという感じです。思い出されるFirefox OSフォンのFlameのアレ……。
記事で挙げたPiZero 2Wも例外ではないので、なぜかリリース直後に飛びついた各位(Twitterでみているぞ)も、それを180日検証申請して遊んで廃止届を出し終えた各位も、お手持ちの技適マーク&番号記載のないZero 2Wは、法律に従えば、引き続き暗箱で運用するか、100均のディスプレイケースにでも入れて飾っておくしかないでしょうねえ。